コラム
介護記録の書き方は?記録するべき項目や上手な書き方を解説!
介護保険法によって記録が義務付けられている介護記録。しかし慣れないうちは、「何を書けばよいのかわからない」「文章のまとめ方がわからない」と悩む人は少なくないでしょう。記録を書くポイントを押さえれば難しいことはありません。この記事では、介護記録を書く目的やポイントを紹介します。
1. 介護記録とは
介護記録とは、提供したサービスの内容や利用者さんの状態を記録に残すことです。介護記録を残すことは、介護保険法によって義務付けられています。
2. 介護記録を書く目的
※「職員間での情報共有」「ケアプランの活用」「利用者やその家族との情報交換」「万が一の事故時の対応や状況の説明証拠」などを記述ください。
介護記録を書く目的は大きく分けて4つあります。
2.1 職員間での情報共有
1人の利用者さんに対して複数人のスタッフが関わります。統一した関わりができるよう、その日その日の利用者さんの様子や提供したケアの内容を記録し周知しておく必要があります。利用者さんに良いサービスを提供するためには、職員間の情報共有や認識の統一が重要だといえるでしょう。記録を通して継続したケア介入が実現します。
2.2 ケアプランの活用
介護記録をみることでケアプラン通りにケアが提供できているか確認することができます。ケアプランの目標が達成できているのか、今不足していることや課題をみつけるきっかけになるでしょう。
2.3 利用者やその家族との情報交換
利用者さんの気持ちの表出や訴えなどもしっかり記録する必要があります。そのときに関わったスタッフが知っていれば良いのではありません。他のスタッフにも共有し、統一した関わりを持つ必要があります。家族の思いも記録としてしっかり残しましょう。被介護者への思いや家族が介護をどう感じているかなどを知ることができます。
2.4 実施したケアの内容を記録として残しておくため
ケア中のけがや事故に関して細かく状況を記録する必要があります。「どのような状況で事故が起こったのか」「そのときの利用者さんの状態」「どのような対応をしたか」を詳しく記録に残しましょう。いざというときの法的証拠となります。
3. 介護記録の書き方
介護記録を書くときに意識すべきことは、だれが読んでも内容が理解できるように書くことです。ここでは4つのポイントをご紹介します。
3.1 「5W1H」を意識する
「いつ」「どこで」「だれが」「なにを」「なぜ」「どのように」を意識して書くと読んでいる相手にも分かりやすく書くことができるでしょう。事故が発生したときなど5W1Hに沿って具体的に記録に残すことで、そのときの状況や原因などが明らかになり今後の対策を立てるときに役立ちます。
3.2 簡潔にまとめる
記録は簡潔にまとめるようにしましょう。ダラダラと長い長文は読みにくいものです。見やすくまとめることを意識しましょう。
3.3 客観的な事実に基づいて書く
自分の考えや推測で書かないようにしましょう。あくまで自分が見たり聞いたりしたことをそのまま事実として書かなければなりません。
3.4 専門用語や業界用語、施設独自の表現を避ける
誰にでもわかるように書かなければなりません。そのため専門用語や業界用語などを使うのはやめましょう。
4. 介護記録の例
※「食事」「排泄」「入浴」「睡眠」「行動・活動」「トラブル時」などを記述ください。
4.1 食事
食事の形態や食べた量、かかった時間やむせの有無などを記録します。食べているときの姿勢や義歯の状況なども書きましょう。
自分で食べられるのか、それとも介助が必要なのか、箸やスプーンなど使用する食器の記録も忘れずに。
4.2 排泄
トイレの回数や排泄物の性状、おおよその1回量などを記録します。排泄時の衣服の上げ下げやトイレまでの歩行状況、どの程度介助が必要であったかもしっかり記録しましょう。
4.3 入浴
入浴時は全身状態をみれる機会です。発赤や発疹、腫脹や浮腫などトラブルが発生していないか観察し記録に残しましょう。入浴時の動きもしっかり記録しましょう。浴槽の跨ぎ動作や立ち上がる様子など、どの程度介助が必要なのかわかりやすく記録します。
4.4 睡眠
睡眠状況を記録しましょう。何時に入眠し、夜間何度覚醒していたのか、起床時間も漏れがないように記録します。覚醒している理由はトイレや精神的な原因などさまざまです。トイレの回数は漏れなく記録に残し、なにか不安があり眠れないようであれば話を聞いて、そのときの患者の訴えなども書きましょう。
4.5 行動・活動
どのような活動をして過ごしていたのかを記録します。例えば体操に参加したときは、体の動きはどうであったのかやスムーズな動きができていたのか、身体を動かしたとき痛みの訴えがなかったかなどの動きや言動をまとめましょう。 行動に関しては、こだわりやルーティンの行動があるか着目し漏れがないように書きましょう。
4.6 トラブル時
5W1Hに基づき記録しましょう。とくにトラブルが発生した時間やそのときの状況は具体的に書く必要があります。なぜトラブルが発生してしまったのかを考えるためにも利用者さんの状態やまわりの環境なども注目して記録に残しましょう。
5. 介護記録を上手く書くコツ
常にメモ帳を持ち歩きその都度メモできるようにしておくと良いでしょう。そうすれば記録をまとめて後から書くときに振り返れます。5W1Hを意識してメモしておくと良いでしょう。
まとめ
介護記録は利用者さんの状態やケア内容を記録として残しておくもので、介護保険法によって義務付けられています。介護記録はスタッフの情報共有だけではなく、何かあったときの法的証拠にもなる重要な書類です。誰がみても理解できるよう医療用語や専門用語は使わず、また客観的に事実を書かなければなりません。
ケア内容や利用者さんの様子をメモ帳などに簡単にまとめ、後から記録を書くのがおすすめです。